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宇都宮地方裁判所 平成2年(行ウ)3号 判決 1997年12月18日

原告

西房美

右訴訟代理人弁護士

飯田正剛

井上曉

中島信一郎

被告

増山道保

右訴訟代理人弁護士

羽石大

主文

一  被告は、宇都宮市に対し、金四一三万六〇〇〇円及びこれに対する平成二年四月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

被告は、宇都宮市に対し、四五一万円及びこれに対する平成二年四月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  本案前の答弁

(一) 本件訴えを却下する。

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

2  本案の答弁

(一) 原告の請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

原告は、普通地方公共団体である宇都宮市の住民であり、被告は、本件当時(平成元年度)、同市長の地位にあった者である。

2  違法行為

(一) 違法な債務負担

(1) 被告は、平成元年七月三日ころ、宇都宮市職員労働組合(以下「市職労」という。)との間で、夏期要求事項に関し、次のとおりの合意をした。

① 市職労の要求である期末手当ないし勤務手当のプラスアルファ分を充たすため、被告は、副主幹以下の市職員三千数百名に対し、一人当たり二万二〇〇〇円(合計約七五〇〇万円)を一時金の名目で支給する。

② 右一時金の支給は、実質的には期末手当ないし勤勉手当として支給されるものであるが、給与条例に根拠を持たない違法な支給であるので、期末手当等としては支給せず、宇都宮市職員互助会(以下互助会」という。)からの貸付金を交付するという形態をとる。

③ 被告は、右貸付を受ける職員に対し、超過勤務手当(時間外勤務手当及び休日勤務手当をいう。以下同じ。)ないし特殊勤務手当(給食調理員等に関するもの。)を架空支給あるいは増額支給し、右金額分を互助会への返済に充てるものとする。

(2) 右(1)の合意は、職員に対する違法な給与支払のためのからくりとして、職員に対する貸付金の形態をとったものに過ぎず、実質的には市が右職員らの債務を肩代わり(免責的債務引受)するものであったところ、互助会は、右合意に基づき、平成元年八月三一日、前記三千数百名の職員らに対し、一人当たり二万二〇〇〇円を交付し、これにより、宇都宮市は、互助会に対する借受金返還債務(合計約七五〇〇万円)を負うこととなった。

右債務負担は、歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものでないことは明らかであるから、地方自治法(以下「法」という。)二一四条により、予算で債務負担行為として定めておく必要があるところ、本件ではこの手続きがとられておらず、違法である。

(3) 宇都宮市は、互助会に対し、右借受金全額を返済したところ、前記三千数百名の職員らのうち別表記載の二〇五名(市長公室広報課・市民相談係の職員三名、出納室審査係・同出納係の職員一七名及び環境部清掃課の職員一八五名。以下「本件職員ら」という。)については、そもそもその職務の性質上、超過勤務を行っていないことは明らかであるから、宇都宮市は、被告による法二一四条に反する違法な債務負担によって、少なくとも、本件職員らに係る貸付金相当額(合計四五一万円)の損害を被ったものである。

(二) 違法な給与支払

被告は、平成元年九月から同年一二月までの間(なお、給食調理員については、右期間を同年一一月から平成二年二月までとする特例がある。)に四回にわたって、前記三千数百名の職員らに対し、超過勤務手当ないし特殊勤務手当として一人当たり二万二〇〇〇円(一回の支給額五五〇〇円。)を一律に支給したが、本件職員らに対する支出も、明らかに架空の超過勤務手当であり、給与条例主義(法二〇四条の二)に反することが明らかであるから、宇都宮市は、被告による違法な給与支払によって、少なくとも本件職員らに係る支出相当額(合計四五一万円)の損害を被ったものである。

3  監査請求

原告は平成二年一月二九日、宇都宮市監査委員に対し、右2の各行為について、その是正及び損害を補填するために必要な措置をするよう監査請求(以下「本件監査請求」という。)をしたが、同監査委員は、同年二月二〇日ころ、右監査請求には理由がない旨の監査結果を原告に通知した。

4  よって、原告は、法二四二条の二第一項四号に基づき、宇都宮市に代位して、被告に対し、不法行為(右2(一)又は(二))による損害賠償請求権に基づき、四五一万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成二年四月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  被告の本案前の主張

1  訴額(請求原因2(二)の請求について)

本件における訴訟物の個数は、各不法行為の数ないし支出行為の数によって決せられるものであり、いずれにせよ複数であるから、本件の訴額は、九五万円に右訴訟物の個数を乗じて得られる金額であるところ、原告は、訴額を九五万円として本件訴えを提起しており、右差額に対応する貼用印紙額が不足している。したがって、本件訴えは、この点を補正しない限り不適法である。

2  監査請求の対象の特定(請求原因2(二)の請求について)

法二四二条一項による住民監査請求においては、対象とする行為又は怠る事実を他の事項から区別して特定、認識できるように個別的、具体的に摘示することを要するとされているところ、本件監査請求は、平成元年度に貸付がなされた互助会貸付金の返済に充てるために、被告が超過勤務手当の違法な増額支給をなした旨記載するに止まり、その具体的内容を何ら明らかにしていないから、右監査請求の特定を欠き、不適法である。したがって、本件訴えは、適法な監査請求の前置を欠く。

3  監査請求の前置(請求原因2(一)の請求について)

本件監査請求は、被告の違法な給与支払(請求原因2(二)の請求)を対象とするものであって、これが違法な債務負担(請求原因2(一)の請求)を対象としていないことは、監査請求書の記載から明らかである。したがって、原告の請求のうち、被告による違法な債務負担に基づく損害賠償を求める部分に係る訴えは監査請求の前置を欠き、不適法である。

4  当該職員の意義(請求原因2(二)の請求について)

宇都宮市においては、宇都宮市事務専決規程(昭和三七年四月一四日訓令第四号。以下「専決規程」という。)により、副主幹以下の職員に対する時間外勤務命令並びに報酬、給料、職員手当等の支出負担行為及び交際費を除く支出命令は課長の専決事項とされているから、被告は、本件支出の支出負担行為者でも支出命令権者でもない。したがって、被告は、法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」に該当しないから、本件訴えは、住民訴訟の類型に該当せず、不適法である。

三  本案前の主張に対する原告の反論

1  本件の訴訟物は一個とみるべきであり、貼用印紙額に不足はない。

2  本件監査請求は、被告による違法な債務負担ないし違法な給与支払を対象とするものであるところ、監査請求書には、違法な給与の支払日時、支払を受ける職員の範囲等が具体的に摘示されているし、違法な給与の支払に関する宇都宮市と市職労との合意によって、宇都宮市が互助会に対して債務を負担した旨の記載も存するから、監査請求の対象は特定されている。

また、本件では、監査請求が適法であることを前提として監査結果が出されているから、監査請求の対象が特定を欠くとはいえない。

3  社会的に一個と評価しうる事実につき監査請求を経ていれば、監査請求の前置は充たされているというべきであって、これを訴訟において法的にどのように構成するかによって、監査請求の前置の有無が左右されるものではない。被告による債務負担と給与支払は社会的に同一の行為というべきであり、原告は、前者につき監査請求を経ているから、後者についても監査請求の前置は充たされている。

4(一)  本件超過勤務手当の支給は、被告自らの指示の下に組織的に行われた違法行為であって、課長が専決処理したものではない。

(二)  法二四二条の二第一項四号に定める「当該職員」とは、当該財務会計行為を行う権限を法令上本来的に有するとされている者及びその者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至った者をいうところ、被告は、市長として当該財務会計行為を行う権限を法令上本来的に有する者であるから、「当該職員」に該当することが明らかである。

四  請求原因に対する認否

1  請求原因1は認める。

2  同2について

(一) (一) は否認する。宇都宮市が本件職員らの借受金返還債務を免責的に引き受けた事実がないことは、本件職員らのうちに、互助会に対する右債務を自ら返済した者もいることに照らしても明らかである。また、宇都宮市から互助会に対する公金の支出はないから、宇都宮市には何らの損害も発生していない。

(二) (二)は否認する。

3  同3は明らかに争わない。

五  被告の本案の主張(抗弁)

前記二4記載のとおり、本件超過勤務手当の支出負担行為及び支出命令は、専決規程により、課長の専決事項とされており、被告は、これに関し直接意思決定したものではないから、課長に対する指揮監督上の義務違反が存する場合に限り、これに関する損害賠償責任を負うものである。しかるに、原告は、違法行為者も違法行為も特定していないから、被告の指揮監督義務違反を問題にする前提を欠いている。

六  本案の主張に対する原告の反論(抗弁に対する認否及び再抗弁)

争う。前記三4(一)記載のとおり、本件支出は被告自身がなしたもので、課長が専決処理したものではないから、被告につき指揮監督上の義務違反はそもそも問題とならない。仮に、本件支出が課長の専決事項であるとしても、被告は、課長の専決処理が違法であることを十分に知っていたのにこれを制止しなかったから、指揮監督上義務違反が存するというべきである。

七  再抗弁に対する認否

争う。

第三  証拠

本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当事者間に争いのない事実に、証拠(甲一ないし七、九、一〇、三四ないし三六、四〇ないし五二、五四ないし一四一、一四五、乙一ないし四、六、証人吉田昌子、同福富一裕、同高野房三、同加藤恒男、同高橋信夫、原告本人)及び弁論の全趣旨を総合すると、次のとおりの事実が認められる。

1(一)  互助会は、会員の厚生及び共済事業を行い、会員の福祉を増進することを目的として、宇都宮市職員互助会条例(以下「条例」という。)によって設けられた組織であり、その事務所は、宇都宮市役所内に置かれ(宇都宮市職員互助会規約三条。以下同規約を「規約」という。)、その業務は市長が監督するものとされていた(条例二条)。互助会は、宇都宮市職員共済組合の組合員その他理事長が特に必要と認めた者のうち、会員の資格を取得した者によって組織され(規約四条)、その適正な運営を図るため、市長が会員のうちから選定する選定議員一〇名(実際には助役と九名の部長職で構成されていた。)と会員間で互選する互選議員一〇名(実質的には組合側代表としての性格を有するものである。)の合計二〇名からなる評議員会が置かれていた(規約八条)。また、役員として、理事長一名(助役が務めることになっていた。)、理事一〇名(うち常任理事一名)及び監事二名が置かれ、業務の執行に当たっていた(規約一四条)。

(二)  宇都宮市職員互助会福利厚生事業規程は、互助会が行う資金貸付に関し、おおむね次のとおり定めていた。

互助会は、会員に対して資金の貸付を行う(三条)。資金は短期資金、長期資金、小口資金の三種類とし(四条)、短期資金は、会員が、冠婚葬祭、医療及び出産、生活資金、住宅資金等として資金を必要とするとき、その他理事長が特に必要と認める場合に(五条)、小口資金は、会員が緊急に少額の資金を必要とする場合に(六条の二)、それぞれ貸付を受けることができる。短期資金は一万円から七〇万円まで、小口資金は一万円から一〇万円までの金額で、いずれも一万円単位を貸付金額とし、短期資金、小口資金とも貸付金額の五パーセントを手数料として徴収する(一一条、一三条、別表一、三。ただし、教育資金に関する例外がある。)。申込人は、借入申込書に所定の事項を記入し、署名押印の上、添付書類とともに理事長宛提出するものとされ(一四条)、その際、短期資金及び長期資金については、連帯保証人一名を立てなければならない(一五条)。貸付決定の通知を受けた申込人は、借用証書に所定の事項を記入し、連帯保証人(小口資金を除く。)とともに署名押印して、貸付金の交付日にこれを理事長に提出しなければならない(一七条)。借受人は、貸付金及び手数料を、短期資金については二〇回ないし三〇回、小口資金については一〇回に分割して返済する(二〇条、二一条の2、別表一、三。ただし、教育資金に関する例外がある。)。

2(一)  管理職(一般的には課長補佐以上の者)を除く市職員のうち九割以上の者(三千数百名)は、市職労に加入していた。市職労は、毎年六月から七月にかけて、市当局との間で、主として夏期休暇と一時金(人事院勧告と組合要求額との差額を埋めるもの。)の点に関する夏期要求交渉を行っており、右交渉には、市側からは助役をトップとして、総務部長や人事課長らが、組合側からは執行委員長その他の役員がそれぞれ出席していた。

昭和六二年度の夏期要求交渉において、一時金の支給を互助会からの貸付として行えないかが話題となり、これがきっけで、同年七月二七日、互助会評議員会において全職員を対象とした貸付制度(市当局は、秋の行楽費の必要性があったため、右貸付制度を創設したと説明するが、同年度の互助会評議員会の会議録には、かかる創設理由に関する記載は存していない。)が創設された。

昭和六二年一一月、約三五〇〇名の職員(休職者及び育児休業者等を除く。)に対し、一律一万二〇〇〇円(合計約四二〇〇万円。なお、右一万二〇〇〇円は、交渉過程において、夏期休暇を一日増やすこととなったため、これを八〇〇〇円と換算し、当初の組合要求額二万円から控除して算出された金額であると市職労はその内部で説明した。)の現金が交付された、右金員は、互助会から右職員らに対する貸付金(前記の全職員に対する貸付制度を利用してなされたものである。)の名目で支給されたものであるが、その際、右職員らが前記一1(二)記載のような正規の申込手続を履践したことはなく、各部署の庶務担当者がそれぞれの部署の分を一括して処理した。また、手数料は徴収されず、その返済は、各貸付後、数か月間にわたって各職員の給与から控除する形で行った。昭和六三年九月、約三〇〇〇名の職員に対し、一律二万円(約六〇〇〇万円)の現金が、同様に互助会からの貸付金として交付され、同様に数か月間で返済された(ちなみに、市職労の平成元年度定期大会議案書中には、右二万円につき、「一時金では財源的に限界の中で…二万円にさせるという大きな成果を獲得することができた」旨の記載がある。)。

なお、右一律貸付の実態については、互助会の決算書等にも記載されておらず、不明確であった。

(二)  市職労は、平成元年七月三日、分会長、職場委員、課・室・所・場・庶務担当者に対し、平成元年度の夏期要求交渉における合意事項を「夏期要求の合意事項について」と題する内部文書(甲第三号証)で通知した。右書面にはおおむね次のとおり市当局(人事課)と合意した旨の記載がある(なお、右書面には「取扱、保管については充分注意し、コピー等をしないようにして下さい」との注意書きがある。)

(1) 夏期休暇の取扱いについては、四週六休、土曜閉庁が実施され全国的に削減攻撃がかけられている中、昨年までの実績(夏期休暇七日間)を確保させた。

(2) 一時金の取扱いについては、平成元年人事院勧告と市職労要求との隔たりがあるため、その差額をプラスアルファー方式で市当局に出させることにし、その支給月を昨年より一か月早めさせた。

① 金額・支給方法

互助会からの貸付金として、副主幹以下を対象に二万二〇〇〇円を八月三一日に支給する。

② 清算方法

九月から一二月にかけて毎月五五〇〇円を互助会に返済する。給食調理員については、一〇月から一月かけて特殊勤務手当を増額支給し、一一月から二月にかけて毎月五五〇〇円を互助会に返済する。一〇月一日から一月三一日の間に一日の勤務実績もない病欠者等については、二月一日から三月三一日の間に復職した場合、超勤処理を行う。

3  寒冷地手当の支給日である平成元年八月三一日、本件職員らを含む副主幹以下のほぼ全職員(過去二年度と同様に休職者及び育児休業者等は除かれ、また、管理職は辞退した。)三千数百名に対し、寒冷地手当とは別に現金二万二〇〇〇円(合計約七五〇〇万円)の入った封筒が一律に交付された。右金員は、過去二年度と同様に互助会から右職員らに対する貸付金として支給されたものであり、申込手続は各部署の庶務担当者が一括して処理し、その返済は、原則として(右2記載のとおり、給食調理員に対する例外があった。)、同年九月から一二月までの間に、五五〇〇円ずつ四回にわたって(貸付手数料は徴収されなかった。)給与から控除する形でなされた。各課の庶務担当者は、右返済に係る処理をするため、右期間に係る各職員の超過勤務手当ないし特殊勤務手当を右貸付相当額に満つるよう、超過勤務命令簿等の勤務時間数などを操作した(市当局及び市職労は、これを「超勤処理」と呼んでいた。)。その後、各課から送付された超過勤務命令簿等を人事課(超過勤務手当等の支出に関する事務は同課が所管していた。)が集計し、同課長の支出伺い、支出負担行為及び支出命令を経て、各職員に対し、二万二〇〇〇円が超過勤務手当ないし特殊勤務手当として支給された(このうち、本件職員らに対し、平成元年九月から同年一二月に四回にわたって、超過勤務手当としてなされた合計四五一万円の支出を「本件支出」という。)

市職労は、同年九月一日付けの機関紙「日刊こんにちは」(甲第五号証)を通じて、平成元年度の夏期要求交渉の成果が、七日間の夏期休暇と右二万二〇〇〇円の一時金(昭和六三年度は二万円だったので、平成元年は二〇〇〇円プラスになったとしている。)である旨、組合員に通知した。

4  原告(保険代理業を営む傍ら、市民運動に携わっていた。)は、平成元年八月ころ、昭和六三年度の前記貸付金をヤミ給与として告発する匿名の封書を受け取った。右封書には、昭和六三年九月三〇日、課長以上の職員を除く一般職員に対し、互助会から一人当たり二万円の貸付が行われたこと、その返済は、同年九月から一一月までの三か月間、通常の超過勤務手当に上乗せして支給する形でなされていること、右貸付は市総務部長と労働組合の交渉で決まったものであるが、その実態は夏期一時金に一律プラスアルファーをしたもので、正にヤミ給与にほかならないこと、このことは、平常残業などありえない市庁舎案内、清掃事業所職員の超過勤務命令簿をみれば容易に判明すること等の内容が記載されていた。

原告は、右封書をきっかけに自ら調査を開始するとともに、平成元年一一月ころ、マスコミ各社に対し右疑惑の内容を説明し、その追及を呼びかけた。

5(一)  地元の新聞社は、平成元年一二月九日の朝刊において、昭和六三年度の前記貸付金に関する疑惑につき、おおむね次のとおり報道した。

宇都宮市は、昭和六三年八月、市職労等に加入する組合員の全職員約三〇〇〇人に対し、一律二万円のヤミ手当(合計約六〇〇〇万円)を現金で支給した。右手当の名目は「秋の行楽シーズンに要する一時貸付金」で、互助会から市が融資を受け、その後各職員が数か月にわたり給与天引きで互助会に返済する形を取った。しかし、実際は各職員の毎月の残業時間を水増しし、結果的に返済金二万円をカラ超勤手当で浮かせ、融資額との帳尻を合わせた。

(二)  助役(前記のとおり、同人は互助会の理事長でもある。)は、同月八日、同新聞社のインタビューに応じ、「右貸付の実施は、昭和六三年六月、市職労との夏期一時金の交渉があったころに決まった。」「(一律二万円の支給は)正常な形ではない。是正しなければならない問題だ。」「予算で人件費の枠が決まっているため、職場によっては超勤手当がカットされるところもある。それを互助会からの貸付金という形で補う意味があった。」「例えば一時間残業したところを、二時間にして超勤を付けるとか…。担当者の事務は複雑で大変だと思いますがね。」「同様の貸付は、昭和六二年度にも実施された。」等と答えた。同助役は、翌九日早朝に行われた別の新聞社のインタビューに対しても、「組合との交渉が発端で昭和六二年度の超勤分を市が職員に支払った。」「職員は正当な賃金を受け取っただけ。」「返済の際は、職員の残業を水増しし、その分を充てた。」等と同様の回答を行った。

6(一)  市執行部(助役、総務部長、人事課長)は、同日午後、右新聞報道を受けて記者会見を行った。加藤助役は、前記二万円の貸付は、本人の申出に基づき互助会の制度を利用してなした正規の貸付金であり、これに市当局や市職労が関与したことはなく、その返済に関して超過勤務手当の水増し等の不正がなされた事実も一切ないと弁明し、一転して前記疑惑を否定した。そして、前日及び当日早朝に行われたインタビューにおける発言を翻したことについては、「人事課長に確認したところ、私の勘違いであった。」等と弁解した。

また、総務部長は、右行楽資金の性格につき、「あくまで職員からの要望があるため貸し付けているもので、夏、冬のボーナスの谷間の時期であることや、サラ金利用へ歯止めをかけるため互助会で行っているもので、市当局とは何ら関係ない。」等と釈明した。

(二)  市職労の執行委員長は、同日行われた記者会見でこれと同様の回答をし、ヤミ超勤の存在及びこれに関する労使間の密約の存在を全面的に否定した。

7  同日、昭和六二年度及び平成元年度にも同様の貸付がなされていることが判明し、同月一一日の市議会が紛糾した。昭和六三年度決算は、同月八日開催の決算審査特別委員会において既に認定されていたが、この問題が解明されるまで留保されるという異例の事態となった。市議会は、時間外勤務手当支給等調査特別委員会(以下「調査特別委員会」という。)を議会内に設置するとともに、監査委員に対し、平成元年一二月一三日付けで地方自治法九八条に基づく監査請求(昭和六二年度ないし平成元年度の三年分の貸付金を対象とするもの。)を行って疑惑の追及に当たることとし、さらに、一〇〇条委員会の設置についても検討することとした。

調査特別委員会の委員の一人は、同月一八日、宇都宮市公文書公開条例に基づき、超過勤務命令簿(所属長の命令に基づき行った残業を記録し、超過勤務手当支給の基本となる帳簿)の開示を請求した。市は、同日、職名と個人名、職員コード番号、管理職の命令印と職員の受命印を墨塗りにし、どの職員のものか分からないようにした上、右文書を部分開示した(市は、別の市民が翌一九日になした同命令簿の開示請求については、プライバシー侵害のおそれがあるとして開示保留とした。)。右帳簿その他の資料(鍵受領返還簿)を調査(平成元年三月及び九月の任意の二二日間について総務課に絞って調査した。)したところ、超過勤務命令簿に記載された超過勤務終了時刻と各部署の鍵の返還時刻との間にずれがあることが明らかになった。

8  原告は、平成二年一月二九日、宇都宮市監査委員に対し、自ら入手した前記一2(二)記載の「夏期要求の合意事項について」と題する組合内部文書(甲第三号証)を事実証明書として添付し、本件監査請求を行った。

これに対し、同監査委員は、全対象部課から超過勤務命令簿等関係資料の提出を求め、超過勤務等の実態についての調査を行った上、同年二月二〇日付けで、超過勤務手当等の支給について、監査委員の職務権限の範囲では、互助会貸付金の返済に伴う不正が行われたとする確証を得るまでに至らず、不正の事実を認めることは困難であり、右請求には理由がない旨の監査結果(右監査は、監査内容が一部重複する前記議会の監査請求に係る結果を援用してなされている。)を通知した。

なお、同監査委員は、右通知書において、超過勤務手当等の支給について、市民及び市議会の疑念を招いたことは遺憾であるとして、①組合との交渉にかかる記録等を整備し労使交渉に関する疑念を招かないようにすること、②本件貸付については、貸付に係る事務処理及び周知方法の安易さに加え、一律貸付等の問題が見受けられるので、貸付制度の存続の適否や評議員会のあり方など組織の見直しを含めて早急に検討、改善するよう互助会を指導すること、③超過勤務は命令者が必要と認めたときに、職員に勤務を命じ職員が受命して行われるもので、実態の把握は命令者が事後に確認して行うのが原則であり、この原則に基づく事務処理を徹底すること、④超過勤務に係る予算、配当、命令、確認等一連の事務について、適正管理のための規程を制定し、厳正な運用に務めること、⑤各課の超過勤務時間に大きな差異(昭和六三年度における課別の超過勤務時間は、一人当たり年間平均で七〇〇時間を超えるところもあれば、一〇〇時間に満たないところもあるとする。)がみられるので、各課の職員数や業務分担について見直すこと等の点につき、改善要求をなしている。

9  調査特別委員会は、同じころ、互助会の前記貸付金に関し、不正支給がなされた事実を認めることは困難であるとの最終報告をまとめ、市議会は、同月二六日、右報告を承認した。この結果、一〇〇条委員会の設置についても見送られ、本件貸付金に関する議会での追及はいったん終了することとなった。

10  原告は、平成二年三月二〇日、本件監査請求の結果を不服として、本件訴訟を提起した。これに先立ち、助役及び市長公室長(同人は、市長の側近的な立場である。)は、同月始めころ、市内の料理屋で原告に面会し、訴提起を断念するよう暗に要求した。その後、市長公室長は、提訴前に三回、提訴後に二回、料理屋等で原告に面会し、「一〇〇万円差し上げたら取り下げてくれますか。」等と話すなど、本件訴訟の提起、追行を断念するのと引換えに、金員を提供する用意がある旨ほのめかした。

被告は、同年七月一日、助役及び市長公室長が本件訴訟の取下工作をしたかのような印象を与える軽率な行為をとり、自らも部下の管理、監督を怠り、市民に不信感を与えたとして、被告自身、助役及び市長公室長をそれぞれ三か月間十分の一の減給処分とした。

二  以上を前提にして、まず被告の本案前の主張について検討する。

1  本案前の主張1(訴額)について

法二四二条の二第一項四号の請求において、対象となる財務会計上の行為が複数である場合には、訴額の計算上は、各請求がそれぞれ九五万円の訴額(同号の請求における訴額は、請求金額や原告住民の数によらず、一律に算定不能とすべきである。)であるものとしてこれを合算するのが原則である。しかしながら、対象とする財務会計上の行為が複数であっても、本件のように、多数回にわたる同種の支出を一律に問題とし、しかもその違法事由が全く共通するものである場合には、訴額の計算においては、これを一個の請求とみるのが相当というべきである。

2  本案の主張2(監査請求の対象の特定)について

(一)  住民監査請求においては、その対象とする当該行為又は怠る事実を他の事項から区別して特定、認識できるように個別的、具体的に摘示することが必要であり、当該行為等が複数である場合には、原則として、各行為等を他の行為等と区別して特定、認識できるように個別的、具体的に摘示することを要するものといわなければならない。しかしながら、当該行為等の性質、目的その他諸般の事情に照らし、これらを一体とみてその違法又は不当性を判断するのを相当とする場合においては、その限度において、個々の行為等を逐一具体的に摘示することなく監査請求の対象を特定し得るものというべきである。その際、監査請求の対象の特定の有無については、事柄の性質上、住民訴訟と同程度の厳密な特定を要するものではなく、また、その判断に当たっては、監査請求書の記載のみならず、これに添付された事実を証する書面の記載や監査請求人が提出したその他の資料等を総合考慮すべきである。

(二)  これを本件についてみるのに、本件監査請求の対象とされた支出は、その個別的、具体的な支出の時期、金額は必ずしも明らかでないものの、事実証明書その他の資料等を総合考慮すれば、平成元年九月ないし一二月にかけて副主幹以下の全職員に支給された超過勤務手当等のうち一人当たり二万二〇〇〇円に相当する部分を一律にその対象とする趣旨であり、これを包括的に他の支出と識別することは可能であるし、その違法とする理由については、前記のとおり、右支出が架空の超過勤務等に対するヤミ手当であるから、およそ違法な公金の支出であるとしていることが明らかであって、右支出については、その性質、目的等に照らし、一体としてその違法又は不当性を判断することが相当な場合といえる(監査請求の性質に照らし、監査請求の特定は、他の支出と識別して違法又は不当性を判断するに必要な程度で足り、具体的な損害賠償額が直ちに確定できなくとも、請求の特定に欠けることはないと解する。)から、その限度で、個々の支出について個別的、具体的に摘示されていなくとも、監査請求の対象の特定としては欠けるところはないというべきである。

3  本案前の主張3(監査請求の前置)について

法二四二条の二項第一項が定める監査請求前置主義の要件を充たすためには、監査請求の対象と住民訴訟の対象とが必ずしも完全に一致することは必要とされないが、その対象事項が実質的に同一(監査請求に係る行為又は事実から派生し、又はこれを前提として後続することが当然予想される行為又は事実等については、かかる実質的同一性を肯定することができる。)であることが必要とされるところ、本件における監査請求の対象(右監査請求の対象が違法な給与支払であることは明らかである。)と住民訴訟の対象(違法な債務負担に基づく損害賠償を求める部分)とは、本件貸付に関連してなされた行為という点では共通するものの、それぞれ独立の財務会計行為といわざるを得ず(後者が財務会計行為に該当するかはひとまず置くこととする。)、両者の間に実質的な同一性を認めることもできない。

したがって、原告の請求のうち、被告に対し、違法な債務負担に基づく損害賠償を求める部分に係る訴えは、適法な監査請求の前置を欠き、不適法である。

4  本案前の主張4(「当該職員」の意義)について

法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」とは、当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至った者を広く意味し、その反面、およそ右のような権限を有する地位ないし職にあると認められない者はこれに該当しないと解するのが相当である。

この点について本件をみるのに、本件訴訟において適否が問題とされている財務会計上の行為は予算の執行としての本件支出であるところ、予算の執行は長の権限であるから(法二二〇条一項)、宇都宮市長である被告は、本件支出につき法令上本来的に権限を有するものとされている者である。なお、証拠(乙一)によれば、宇都宮市においては、専決規程により、副主幹以下の職員に対する時間外勤務命令並びに報酬、給料、職員手当等の支出負担行為及び交際費を除く支出命令をいずれも課長(前記一3記載のとおり、超過勤務手当に関する事務は人事課の所管事項であると認められる。)の専決事項と定めていることが認められ、本件支出がこれに当たることは明らかであるが(なお、原告は、本件支出は被告自身がこれを決したもので、課長の専決事項として処理されたものではない旨主張するが、その適否はともかく外形上は課長の専決に委ねられていることは前記説示に照らしても明らかであり、右主張を認めるに足りる証拠は存しない。)、被告は、長として本件支出についての権限を法令上本来的に有する者であるから、たとえ専決に委ねることにより本件支出について現実に関与していない場合であっても、「当該職員」たる地位を失わないものというべきである。

三  次に、本案(被告の責任)について検討する。

1  前記一3記載のとおり、本件支出は人事課長の専決によって処理されていたから、長である被告は、専決者である同課長において財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に反し、故意又は過失により、同課長が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときに限り、損害賠償責任を負うものというべきである。

2  そこで、まず、専決者である人事課長のなした本件支出が財務会計上の違法行為といえるかについて検討するに、前記一認定の本件支出に至る経緯、本件支出の態様及びその後の事情等の諸事実によれば、本件支出は職員が実際に勤務していないのになされた違法な支出と認められる。

ふえんするに、互助会は、副主幹以下のほぼ全職員(約三千数百名)に対し、昭和六二年度から一律貸付を行ったところ、右貸付は、申込手続、貸付金額、手数料、支払方法等の点において、規程(市職員互助会福利厚生事業規程。甲第三六号証)上認められた貸付制度の枠を超えたものであることから、これを可能にするため、評議員会の機関決定によって、そのための制度(もっとも、前記一2(一)記載のとおり、互助会の会議録にはかかる創設理由に関する記載は存しない。)を同年度に創設してなされたものであり(なお、前記のとおり、市監査委員は、本件監査結果通知書の中でかかる一律貸付の存在自体を問題点として指摘し、改善要求の対象事項としている。)、かかる一律貸付は、その後平成元年度までの三年間にわたってほぼ同時期(毎年、夏期要求交渉が終わった秋ころ。なお、貸付金支給の時期は年々早まっている。)に行われ、毎年増額されていたが、本件支出が問題とされた後の平成二年度からは行われていないのである。

そもそも、三千数百名もの職員が、毎年同時期に一、二万程度という少額の貸付を受け、その後の数か月で分割返済するなどということはおよそ考え難いというべきであるし、組合の内部文書や機関紙においても、右貸付は市当局との夏期要求交渉の成果として位置づけられているところ、右交渉は、主として一時金の支給問題に関してなされたものである。少額の貸付を受けて自ら返済するだけならば、組合員にとって何ら利益はないから(市当局は、貸付を受けること自体、組合員にとって利益であるとするが到底採用し難い。)、そのためにわざわざ一律貸付の制度を創設したりすることは無意味であり、これを労使交渉の成果などと表現することはありえないことである。また、貸付金額が毎年数千円ずつ増額されていることや本件発覚後に一律貸付の制度が突然利用されなくなったことについての合理的説明も困難である。

結局、右貸付は夏期一時金を支給するため(ないしこれを隠蔽するため)の仕組みとして用いられたに過ぎないと認めるべきであるから、その返済原資は市の公金によって賄われたものと推認するほかなく、各庶務担当者は、そのため「超勤処理」と呼ばれる帳簿上の操作を行ったと推認される(前記一2(二)記載のとおり、「夏期要求の合意事項について」と題する組合内部文書の宛て名の中には庶務担当者が掲げられており、一時金支給の仕組みとして、庶務担当者による右「超勤処理」が当初から予定されていたことが窺われる。)。そうすると、夏期要求交渉に出席していた人事課長は、当然にこの間の事情を知り、実際に勤務していないのに支給される給与の支出であることを知りながら、これに関する支出負担行為及び支出命令を専決処理していたものと推認されるから、同課長のなした本件支出は違法である。

3  次に、被告につき、専決者に対する指揮監督上の義務違反が存したかについて検討する。

本件支出は、その外形上は、副主幹以下の職員のうち二〇五名に対する超過勤務手当の支給という、個々的にみれば比較的少額かつ日常的な予算の執行に過ぎないから、特段の事情がない限り、長がその適否について格別の注意を払うことは期待し難く、また、それもやむを得ないものというべきである。

しかしながら、右に説示したところによれば、その実質は労使交渉の結果決定された一時金の支給であり、本件支出に係る分を含め、その対象者は全体で三千数百名に及び、その総額は約七五〇〇万円にもなり、そのために各課において一斉に帳簿上の操作が必要となることに照らすと、右特段の事情が存するといわなければならず、これを単なる日常的な予算執行と同視することはできない。

そして、本件支出の実質が労使交渉によって決定された一時金の支給である以上、これについて長である被告が、市当局側の出席者ら(助役、総務部長、人事課長ら)から何らの報告も受けなかったとは考えられず、しかも、同様の一時金の支給は過去二年度にもなされていたというのであるから、被告はこの間の事情を十分に知っていたものと推認すべきところ、かかる実質一時金の支給のための実際の勤務のない超過勤務手当の支給が条例の根拠に基づくものでなくおよそ違法であることは一見して明白であるから、専決者である人事課長が前記財務会計上の違法行為をすることにつき、被告はこれを制止すべきを怠ったと認めるのが相当である。

四  そして、右違法な公金の支出により、宇都宮市はこれに相当する損害を被ったものであるから、被告は、これにつき損害賠償責任を負うものである。

ただ、前記認定事実によれば、本件当時、宇都宮市においては、段階的に週休二日制が導入されたことに伴い、各部署の残業時間がかなり増加し、部署によっては必ずしも時間外勤務手当が全額支給されない実態(超過勤務命令簿に記載されない、いわゆるサービス残業)が存在したことが窺われるところ、仮に本件職員らが本件支出を受けた期間中に、サービス残業を余儀なくされたとすれば、対応する超過勤務手当分については、結果としては宇都宮市に損害を生じたことにはならない。

そこで、この点につき検討するに、証拠(証人吉田昌子、同高橋信夫)及び弁論の全趣旨によれば、本件職員らの所属する部署中、出納室審査係及び同出納係一七名を除く一八八名は比較的残業の少ない部署に属しており、超過勤務をした場合にはきちんと超過勤務手当の支給が受けられていた(すなわち、超過勤務命令簿に記載されていた)ことが窺われるが、右一七名についてはこの点が証拠上不明である。したがって、右一七名分について宇都宮市に損害が生じたとの立証は十分とまではいえない。

五  よって、原告の請求は、右一八八名に関する程度で理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九二条ただし書を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官島内乗統 裁判官石田浩二 裁判官角井俊文)

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